Eternal Ballads に寄せて 第1章
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女性シンガーの名バラードを集めた「Eternal Ballads」。そこに広がる女性の恋愛模様を、4パートに分けて紹介してみたい。
M-1 「難破船」 中森明菜
陽は沈んで朝がくる。木は朽ちて森となる。されば、恋は…。
この恋愛の物語は、唐突に恋の終わりから始まる。海のように深く愛したひととの別れは、その海が深く広いほど、衝撃の波は荒ぶれて、嵐のごとく、何度も何度も押し寄せてくる。
そのなかでの「わたし」の存在は、弄ばれるただ1艘の舟だ。「たかが」と強がっていても、いつ果てるともしれない感情の嵐の前には、為す術がない。
中盤の間奏は、吹きすさぶ風、押し寄せる波のように、ストリングスが唸る。サスペンス性を前面に出して印象的だ。
M-2 「木枯らしに抱かれて」 小泉今日子
別れが突然なら、出会いもまた不意にやってくる。
恋の痛手を癒すのは、また恋でしかないという。はじまりは片想いから。ちょっとしたしぐさ。何気ない表情。昨日まで素通りしてなずなのに、なぜこんなにいとおしくなるのだろう。
恋の始まり方は何度目であれ、初恋とかわらない。違うのは、燃え広がる炎の早さか。失ったあとなら、それはなおさら…。
この曲で光るのは鼓動のようなドラムプレイとバグパイプ。恋に踏み出す行進曲(マーチ)のように、彼女を後押しする。
M-3 「恋一夜」 工藤静香
想いがひとつに重なった夜。
心に沸いてくるのは、喜びより、ふたたび失う不安。初恋じゃあるまいし、恋愛を経験すればするほど、幸せは儚く消えゆくものだと知ってしまう。
知っているからこそ、いままさに腕の中に抱かれている「わたしのきもち」に、正直になりたいと思う。いつか失うその時までは…。恋は叶えばこそ、刹那的で、無常の苦しみを与える魔物にもなるのだ。
作曲編曲は後藤次利。恋の深まりに落ちていく姿を、スリリングに演出している。
M-4 「好きにならずにいられない」 岩崎宏美
何度目かの恋が、花を咲かせた。
わたし自身が「好きにならずにいられない」と、恋の魔力にかかったと認めるのは、幸せの光が見えたから。
恋は、心を虜にして自らを生み増やす、ウィルスのようなもの。膨らんでいく恋心は、彼女を光り輝かせるけれど、同時に嫉妬の心も芽生えさせてしまう。「ただ好きでいたい」それだけのため、女性は艶やかさと醜さの二枚の羽をひろげる蝶になるのだろう。これまでとは違う幸せのもとに、飛び立つために。
収録のアカペラバージョンは、岩崎宏美の透明感のあるボーカルが映えて、美しい。
好評なら(笑)次章続きます。


Comments
おぉ、素晴らしいですねえ。そのままCDジャケの曲目解説に使えそう。私も文芸的な文章が書ける様になりたい(笑)。
是非最終章までお願いします。
Posted by: MARU | December 04, 2004 at 11:12 AM
おだてられて木に登るがごとく(笑)、第2章を書いてしまいました。ただ最終章まで漕ぎ着けるかは、予断を許しません(笑)
Posted by: ひらりん | December 05, 2004 at 07:01 PM